DEOクリアPU増産中
皆さん、演奏活動を楽しんでますか?
最近は、ぼくの地元でもノーリスクのオープンマイクやオープンマイク的に演奏させてもらえるお店がいっぱいになってきて、なかなか賑わっているようです。
でもいまだに、という表現が多分正しいと思うのですが、ある程度キャリアがあって、盛んに演奏活動している人ほど、アコギのPUサウンドで「どうしても思うような音が得られない。」と悩んでいるようです。
考えてみれば、難しいのは当たり前です。
ギターアンプからの出音が全てとなるエレキに比べると、ラインで卓に送るアコギの方が数段音域とダイナミックレンジが広いし、生音をそのままの感じで大きい音にしようとすると、PUやプリアンプで音が変えられてしまったらよろしくないですから。
ハウリングの問題もそうですね。
そんなことほとんど意識しなくて済むソリッドエレキに比べると、アコギのPUサウンドは、もし音がよいと思っていても、ボディが箱なだけにすぐにハウってしまって、思う音量が得られなかったり、EQやフィルターでハウる周波数をカットしてたら結局生音とは似ても似つかない音になっていたりするのだと思います。
弊工房オリジナルコンタクトピックアップ『DEOクリアPU』は、ぼく自身が08年からライブハウスでの演奏とPUの作り直しを繰り返して完成させてきたアコースティック用ハンドメイドPUです。
現用のものより音がよく、ライブでも使いやすそうだということで、今月も複数オーダーいただいてます。
先月のお客様方から、「どうやってこういう音を作ってるの?」と口々に訊かれたということもあって、久々に書こうと思いますが、さらに詳しい製法について、ぼくごときが問い合わせに応じることはできませんので、悪しからずご了承ください。
圧電振動板を使います。
円形のPUは市販品でもよくありますが、もともとブザー用の素子なので、かなり高い特定の周波数で共振するように作ってあって、円形のままだと広いレンジをフラットに再生するのに向きません。
短冊形にカットして共振周波数を下げ、さらに選定した基台に貼り付け、配線材をハンダ付けします。
70年代後半すでに存在し、94年に販売終了した伝説のFRAP、その後のアコースティック・レンズ、Mファクトリー、アンフィニ・カスタムワークスといった限られたブランド、工房さんが手がけている高価なPU及びシステムには到底及ばないでしょうが、おそらく同様の手法ではないかと勝手に思っています。
ちなみにプロの方でも、ブラス部分だけをカットして「共振周波数を・・・」とネット上でおっしゃっている方を見つけたことがありますが、セラミック部分までカットしなければ充分な効果は得られません。
ブラス部分だけなら、プロアマ問わず、手先の器用な方ならすぐできます。
銅箔でシールディングし、レジンで覆いました。
こうすることでハムノイズが乗りにくくなります。
銅箔シールドは、以前、アンフィニの藤岡さんがブログで紹介してくださっている記事から学ばせていただきました。
底面にはスリットの入った透明板を取り付けています。
基台同様、ぼくなりにたくさんのマテリアルをこつこつ試していって辿り着いた結果です。
2台分完成しました。
シングルの場合、ギター本体に仕込むのはこれだけです。
取付は、貼り位置と角度でおそろしく音が変わるので、PUの単体販売はせず、ぼくがやらせてもらってます。
エレアコでよくあるアンダーサドルピエゾのように、弦振動を支える部分に仕込んだりしないし、プリアンプや電池等の重量物を積んだりもしないので、ギターの生音はほとんど変わりません。
そのかわり、どうしても別でプリアンプ、シールドケーブルが2本必要となります。
エレキ経験者だと、ギターアンプやエフェクターボード持参でライブということに慣れてますから、ギター以外に持ち物ができ、こだわりポイントが増えることをむしろ喜んでくださいます。
使う素子のブランドや口径、基台の材質や厚み、接着剤の種類や硬度、使う分量等々、ちょっとしたことで音が変わり、同じものを使っていても、間違えると全然違う音になる可能性が高い世界ですから、1つ1つ丁寧かつ慎重に作らせてもらってます。
これからも皆さんのお役に立てたらうれしいです。
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