FIND the ストローク DEOEMON にようこそ!

ここはギター工房Resonance Guitarsが、ギターのことや日々の出来事をつづっているブログです。

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TOKYOハンドクラフトギターフェス2024が、5月25日(土)、26日(日)に開催されました。

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今回も出展させていただきました。

ありがとうございました。

東京都墨田区JR錦糸町駅前すみだ産業会館8Fサンライズホール

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2024年10月17日 (木)

クセ強ネックに久々の悶絶!!Greco SE700N

木は生き物ですからね、金属や樹脂みたいに均一じゃないんですよ。

ですよね。

ま、それは分かっちゃいるけど、たまに強いクセを持った個体に当たると、どうしてそうなっちゃうの?

って驚いてしまうこともあります。

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さて、SE700のフレットは、それなりに弾き込まれてきたのでしょうか、ずいぶんすり合せが施されていてかなり低くなっています。

46年ぶりのリニューアルとして、指板調整し、フレットを打ち直し、ナットを作り直しましょう。

しかし、目視ではそれほど酷い状態ではないだろうと思っていたこのネック、計測してみるとかなりやっかいなクセを持っていました。

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一見きれいになっているように見えるかもしれませんが、まだメチャメチャ考えながら作業している最中です。

軽い順反りに軽い捻れ、ここまでならお客さんのギターで何十本でもあったと思います。

ところがそれに加えて、指板Rがミドルポジションで大体製造時程度、ローポジションとハイポジションはRが緩くなっているんです。

どこまでも指板を削っていいなら話は別ですが、絶対にこれ以上は削らないという自分なりのルールを数値で決めています。

やり過ぎると強度が著しく落ちたり、音が大きく変わってしまったりするからです。

順反りと捻れを解消し、指板Rをミドルポジションに揃えたとしたら、指板のローエンドポジとハイエンドポジは厚みがほとんど無くなってしまう計算です。

かと言って、指板Rを緩い方に合せるのも、ミドルポジションの3、4弦あたりを削ることになるので、順反りと捻れの解消とは相反する作業になって辻褄が合わなくなります。

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計測とサンディングを交互に繰返しながら、時々ロッドをチビチビと締め、恐ろしく難しい調整作業となりました。

これ以上削るのはダメと決めていた数値に達しても、全てを完全解消することは不可能でした。

もちろん初期状態よりは良くなったので、やらないよりはうんとマシですけど。

それに、惜しくも完全解消できなかったこの状態で諦めるしかないのかと言ったら、実はまだ打つ手はあるのです。

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はい、フレットを打ちました。

ナロートールです。

そう、つまりちょっと背の高いフレットを打って、指板で調整しきれなかった分をフレット頭を揃えることで解消しようということです。

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うん、ミクロな目で観ると、薄ら元のクセが見え隠れしている気がしないでもないですが、これなら大幅に改善できたと思います!

きっちり磨きもかけました。

後は弦の張力が実際にかかり続けたときにどう動くかですね。

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ボディと合体させてみました。

見た目が最初とほとんど変わってないように見えますが、音も操作性もグンとUPしていたら最高だなと思います。

乞うご期待!!

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コレ何も触ってないですね!EARLY SIXTIES!!

ノスタルジックな想いもあって、思わず手に入れてしまった78年製フジゲンメイドのGreco SE700N EARLY SIXTIES。

前記事でパコンパコン、ケロリンケロリンな音だなんて酷いことを言ってしまいましたが、反応の早さやこなれた枯れ感は、そこはかとなく高いポテンシャルを秘めているような気配を感じます。

それに、「EARLY SIXTIES」というよりは「LATE SIXTIES」じゃないかとも言いましたが、4点止めのラージヘッドというと概ね66~70年のストラトキャスターにかなり近いと思いますから、よりそこに近づくようにするのもよいのではないかと。

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ピックガードごと裏返してアッセンブリーを観察してみました。

PUの配線材に2芯線が使われているせいか、ずいぶん見た目にスッキリ簡素な印象です。

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SWとか当時らしく独特ですが、アース線の取り回しなど、よく分かってらっしゃるというか手堅くきれいな仕事ですね。

ポット間に申し訳なさそうに収まっているクロレッツがかわいいです。笑

スプリングプレートへの配線ハンダ以外はおそらくバージンですから、ホントに46年間、何もイジらずに今日まで来たのですね。

国産(海外製のコピー品)だからということで、結局だだ草に扱われる個体も多かったでしょうし、そうでなくてもプレイヤーの前向きな気持ちでMODされたりした個体も相当数あるだろうと考えると、この保存度は奇跡的です。

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ぼくは、これが素晴らしい1本になるならチューンしたいと思う方ですから、フルオリが至高だとする考え方とは対極(天敵?)です。笑

でも逆に、よく考えもせずに思いつきで散々弄くり回してゴミにしてしまうようなやり方は大嫌いで、ぼくはモノに想いを寄せたい派だと内心は思っています。

今回は、アッセンブルの大半がピックガード上にあるストラトタイプの利点を生かし、ノーマルのアッセンブリーはそのまま取っておいて、ピックガードから新しく作ってみました。

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はい、サクッと完成!

画像右が元のモノで、左が作り直したモノです。

ボディに止めるビス位置も完全にトレースしました。

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裏側です。

PUは3つとも最近のTokaiのものを入れました。

ノーマルよりパワーがあるので、丁度いいんじゃないかと読んでいます。

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はい、バッチリ取り付けできました。

これこそすぐに元に戻せるのでよいやり方ではないかと思います。

ちなみに上の画像ではトレモロユニットをポン付でGOTOHのスチール製に交換してあります。

ダイキャスト製はFenderだと72年からなのです。

ビンテージストラトはほぼ全ての年代を弾いてきた経験があるのですが、トレモロユニットの材質は音への影響がかなり大きいです。

66~70年に寄せるとすれば、ここは抑えておきたい箇所なのです。

また一段と仕上がる日が楽しみになってきました!😆

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おっと旦那!そいつぁLATE SIXTIESでっせ!!

1978年というと昭和53年で、ぼくは当時10歳、早生まれなので小学校5年生でした。

父は岐阜県に単身赴任中、愛知県高浜市の葭池住宅に母、妹と3人で暮らしていた頃です。

エレキギターは、かなり年上の従兄弟のお兄さんが持っていて、一度親戚の前でちょっとだけ披露したことがあったのだとか。

ぼくは当時、小遣いを貯めては沢田研二のシングルレコードを買って、鳴らしながら歌うのが好きだったはず。

バックの井上尭之バンドのサウンドも良かった。

土曜日は午前中で学校が終ると、家で昼ご飯を食べながら歌番組を見ていた記憶。

時々Charが出演していたような覚えがあって、ギター上手いし格好いい人だなと思っていたけど、母が「長い髪に肌見せて歌うなんて不潔だわ。」と言っていたような。笑

本格的なラジコンカーを買う計画を立てて、2年間で4万円貯めてやろうと企んでいた。

そんな(どんなやねん)78年のGrecoカタログだそうです。

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ストラトタイプの上位機種SE800とSE700のページですね。

価格は型番通り8万円と7万円、消費税は当時まだないから値引きがなければこのままのお値段です。

ラジコンの4万円でも壮大な計画だったのに、この値段は宇宙規模です。笑

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グッと拡大しまして、先日、画像右にあるSE700Nを中古市場で見つけました。

この頃の日本製ギターは、今ジャパンビンテージと言われて国内はもちろん、むしろ海外での人気が高く、取引価格もずいぶん高騰してきています。

見つけたSE700N、GrecoはTokaiほど高騰していないというのも手伝って思わず購入してしまいました。

しかし、届いたSE700Nをまずはそのまま弾いてみて思ったのは、「惜しい!」「勿体ない!!」でした。

これは素晴らしいという言葉の裏返しです。

当時のフジゲンの人たちは、よくぞここまでFenderをコピーしたものだとグルッと見回しながら感心したのですが、弾いてみるといろいろな箇所がちょっとずつ惜しいのです。

そういった所を1つでも2つでも多く完コピできていれば、基本的な工作が当時の本家よりバッチリなだけに勿体ないのです。

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見た目よりもジョイントポケットは平滑、ネックアングルも非常に良いです。

ロッドナットが六角なのは別に問題じゃありません。

なのに、音はとにかくローパワー感が強く、パコンパコン、ケロリンケロリンてな具合です。

弦のテンションもかなーり緩めで、009ゲージだとヘナヘナなのです。

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ペグ穴をいったん埋めてしまいます。

78年のSE700はクルーソンのルックスをしたロトマチックペグなのですが、弦を巻き付けるポストの背が高過ぎます。

つまり、まず1つはペグが音をスポイルしているのです。

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取外し品で現行Squierのペグが余っていたので、穴を適切な径で開け直し、インストールしていきます。

「貴重なジャパビンに何てことするんだ!!」と言う人がいるかもしれませんが、ぼく的にはもとの穴の径と同じ太さのドリルを1回通過させれば問題なく元に戻せるので躊躇いなくやっています。

ただし、穴の中心を常に捉えなければなりませんので、プロでない限り絶対にやらないでください。

真似しちゃダメですよ。

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はい、完了しました。

かなり慎重に作業しましたので、ほぼ完璧です。

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ペグポストの高さが約2㎜違うというのは、見た目とかではなく、張力の分圧にとっては無視できない違いで、これが音の張りや伸びに大きく関わると考えています。

ああ、これがストラトタイプのテンションだよねっていう感じになるはずなので、Grecoの本領が発揮される日が楽しみです。

それはそうと、ヘッドデカールの「EARLY SIXTIES」はモデル名みたいなものだから、これはこれでいいんじゃないの?

とは思ったりもしますけど、本家ストラトの変遷でいくと「LATE SIXTIES」が、仕様として多分一番近いんじゃないかと思います。

ま、これもご愛敬というか、面白いですよね。

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2024年10月 8日 (火)

ストローサウンドの謎に回路から迫る?!

さて、喜んで弾いているTokaiストラトですが、ずっと弾いているとあることが気になり始めました。

「これって通常のストラトのイメージより元気でしっかりした音だよな。」

そうなんです。

とても安定した強さのある音にはなりましたが、はたと気付くとあの魅力的なストローサウンドは余り感じられない音になっていたのです。

そこで思い出したのは、リヤPUに抵抗器を介してコンデンサーに接続しようとしていた実験の最中、680kΩでは弱々しいと判断した時の音はわりとストロー感があったということです。

750kΩでもまだ少し弱いと感じ、その上の1MΩで充実した音になったのでこれに決定したのでした。

63年製のストラトと弾き比べてみました。

63は特に電子パーツをチューンしていないのにパーフェクトでした。

長年弾いてきたので慣れ過ぎてしまっているせいなのか分かりませんが、野太く、パワー感もあり、タッチにもよく反応してワイドに鳴り響きます。

そしてなぜかあのストロー感が全体にちゃんとあるんです。

どうしてそうなるのか、もうすっかりお手上げ状態です。

これが「ストラトキャスターは材が命!」と言われる所以なのでしょうか。

Tokaiを同じ音にしようとは思っていなかったし、むしろ63とは違うキャラを期待していたはずですが、元々積んでいるエンジンの馬力が圧倒的に違うかのような差を感じてしまいました。

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エレキの回路って今の一般的な尺度で考えれば、おそらくとても原始的で単純な回路だとは思いますが、ストラトは開発された同時代のスタンダードなギター回路の中ではちょっと変わった変化球気味のものではないでしょうか。

ワウをイジっていた時のことを思い出しますが、このトーン回路の動作の在り方は、何か1つパラメーターを触ったり、追加で設けたりするだけで摩訶不思議な予想外の動きを示します。

実験を進めたところ、やはりリヤに追加したレジスターワイヤーと、コンデンサーに追加したトーン補正抵抗のバランスでものすごく変わりました。

一見レジスターワイヤーはリヤを使わないポジションでは関係ないように思うかもしれませんが、実際には全体が僅かに、しかし確実に変わります。

これが微小信号を扱う弱電回路の沼です。

例えばノーマルなトーンの動作はフル103.2kHzピークのハイ上がりです。

絞っていくと途中にはフラットからの素直なダラ下がりがあって、さらに絞っていくと最終的に300Hzあたりのミッドローが盛り上がって0に至ります。

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つまり、他のパーツとの絡みもあり、回路全体で共振する周波数があって、ツマミの位置によっては不安定かつ不思議な動作をするのです。

さて、そんなストラトの回路でも、闊達さを失わず、ストロー感を纏わせることは出来ないものか、レジスターワイヤーとトーン補正抵抗部分をともに可変抵抗に置き換えて実験、見直しをしました。

まずトーン補正抵抗は、10kΩ以下の比較的小さな値でもハイレンジの保持という意味ではとても利き目があって、ツマミの位置に関わらず全体を持ち上げるように利いているのが分かりました。

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レジスターワイヤー部分と兼ね併せながらヒヤリングしたところ、2kΩ弱のところで最低限の利き目があり、ないよりはあった方が音が生き生きと安定する手堅い値だということが分かりました。

トーン補正抵抗を固定すると、レジスターワイヤー部分は、きれいにストロー感の出るポイントが2つあることが分かりました。

1つはやはり690kΩ前後、もう1つは410kΩ前後です。

サラッと書きましたが、全く試してもいなかった下の値でポイントがあったので、思わず「えぇーっ!?」ってマスオさんみたく声を上げてしまったくらい驚きました。

0390kΩ 410kΩ前後 430670kΩ 690kΩ前後 7101000kΩ

弱々しい

値が低いほどスカスカに抜け落ちていく

音量減


ストローポイント!

5つのポジションで全体にイナタイ


いろいろな周波数が出たり

削られたり

堅かったり

柔らかかったり


ストローポイント!

特にハーフトーン時がよい

単発との音量差


とても元気!

高くなるほどしっかり安定

ニュアンスが出にくくなる

 当初、1MΩという高い値を選んでいたのはトーン補正抵抗を思い付く前でした。

トーン補正抵抗はコンデンサーの前か後ろに直列で入れるため、どのポジションでもオールオーバーにかかるし、レスポールなどのようにポットとポットに挟まれているのと似たような状況にもなって、小さな値でも音が安定方向に向かいます。

元々コンデンサーは、フル10だとSWからダイレクトに並列で入り、ダイレクトにGNDへ結線されているので、ポットを介さずリヤPUをつなぐ時、レジスターワイヤーで高い抵抗値を挟まないとハリがなくなってしまっていたのだと理解しました。

2つのストローポイントについてヒヤリング試奏を長時間繰り返しました。

 

  • 410kΩは、全体にイナタイ雰囲気が出て、ニュアンスの点から見ても魅力的です。
    弱々しくなるゾーンや様相がころころ変わるゾーンに入ってしまわないようにジャストで調整できれば、使いやすさはこちらが上です。
  • 690kΩは、力強さもあり、PU単発時とハーフトーン時をクッキリ描き分けます。
    魅力的ですが、単発時とハーフトーン時の音量差がやや大きく、承知していないと演奏していて若干戸惑います。

 

いろいろ迷いましたが、今回は1つの楽器としてのまとまり、音色に統一感の出る410kΩ設定にしてみようと思いました。

 

ストラトキャスター抵抗値MOD

SWポジション フロント フロント+センター センター センター+リヤ リヤ 単位
Vポット抵抗 250 250 250 250 250 kΩ
Tポット抵抗 250 125 250 155 410 kΩ
トーン補正抵抗 2 2 2 2 2 kΩ
合成抵抗 125 84 125 97 156 kΩ

 ポジションごとの各抵抗値を表にすると上のようになりました。

誤解を恐れずに言うと、ストラトについては、これまでそれこそ星の数ほど様々なMOD例があって、ぼくの個人的な印象としては、どちらかというとより多彩、より多機能、よりハイパーにする方向のMODが、メーカー、個人を問わず隆盛だったイメージがあります。

近年で言うとブレンダーやレインボートーンとかでしょうか。

しかし、機能も操作もそのままで何かを改善しようというのはそれほどなかったように思うのです。

 

ストラトキャスター抵抗値MOD(最終形)

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しかし今回、たまたま以前の実験で偶発的に起こっていたことをヒントに意図的な抵抗値操作でストローサウンドを引き出すことが出来たように思います。

表にあるような数値がどんなメーカーのどんな個体にも当てはまるかと言ったら、全くそんなことはないだろうとは思いますけど、自分にとっては新たな発見が満載だったのでとても面白かったです。

 

※見解が二転三転する可能性があります。

※くれぐれも真に受けたり真似したりされませんように充分ご注意ください。

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2024年9月29日 (日)

トーンツマミは触らない ていうのもなんだか

ストラトのトーンツマミを積極的に回すという人はあまりいないようです。

絞っていくと.05㎌でもかなりモコってくるので、ぼくもレスポールでは多少使うときがあってもストラトではほとんどないのが実情です。

静電容量を小さくすればいいんじゃないかというのは早計で、フル10の時を含めてサウンド全体にも影響してしまいますから、やはり定番の定数には全体をまとめるそれなりのよさがあるのです。

コンデンサー交換の事も含めて、これを未だにオカルトだとかプラシーボだとか言っている人がいますが、COLD側にはPUからの逆位相信号が流れていて、僅かでも漏れていれば同じ周波数の逆位相と打ち消し合っているのは科学的な事実です。

絞りが深くなっていき、絞りきる手前のどこかでフェイズがかったような音になったりすることがあるのはそのためですから、自分の耳で感知できないから嘘だというのも間違いなのです。

Vほどではありませんが、Tをより使いやすくするためにいくつかの工夫が成されてきたようです。

例えば、アマチュアDIYで言うとTポットの定数を300kΩに上げるとか、本家Fenderで言うとコンデンサーや抵抗器を付け加えてグリースバケットと言われる回路を製品に搭載することなどです。

これらもいくつか試してみましたが、元の状態の良さを尊重している立場からするとTのモコモコは解消していても3つのPUの明確な描き分けが難しくなったり、またはTの動作自体が大きく変わったりして、やはりそのまま受け入れることはできなかったです。

元の状態の方が全体としての動作がある意味素直なのです。

 

ノーマルストラトの回路図

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こうしてCOLD側も含めて回路図を自分で書いてみるとストラトの中身がどうなっているのかクッキリ見えてきていいですね。

加えて、どこかで必ず閉じられて、輪の状態でつながっているのがそもそも回路だったと改めて自覚させられます。

HOTでコンデンサーと接続されていないリヤPUも逆位相信号が流れているCOLDではつながっているし、HOTも最終的にはVポットを介してCOLDとつながっているのです。

1本のギターとして、スタンダードなストラトの良さを保持しながら、音色にちょっと統一感があり、どのツマミもちょっとずつ使いやすい状態を作る最後の一手は、トーン回路にオールオーバーで利かせるごく単純な方法を取ることに決まりました。

トーン用コンデンサーの所に直列で1つ抵抗器を挟みます。

Fender社のグリースバケットでは4.7kΩになっているところと似た役割です。

ぼくの実験では明らかに5kΩ近辺でよい効果が現れた(深々とくぐもるギリ手前)ので5.1kΩとなりました。

 

ストラトMOD回路図

Mod

いやこれ自画自賛になるのも恥ずかしいですが、めちゃめちゃいいです。

これまでの合計で固定抵抗器4つとコンデンサー1つを使って3つの内容をチューンするという超シンプルでありながら欲張りなトータルMODとなりました。

 

  1. 高い値の抵抗器によってリヤPUをギャンとしたキャラのままトーン回路と接続し、キンキン成分を抑制するとともにサウンドに統一感を持たせる。
  2. Vポットにトレブルブリードを独自の値で組み、調節性の向上とトーンバランスの保持を両立する。
  3. Tポットの絞りに対し、音量が下がって聞こえるほどくぐもってしまう一歩手前でストッパーとして働く補正抵抗を入れ、調節性を向上させる。

 

ストラトをより大胆に改造したい人にとっては何がどう変わったのかよく分からない程度のことかもしれませんが、ぼくにとっては性能爆上がりで、例えばセッションに飛入り参加するとしたら全てのツマミを78ぐらいにして平気で入っていけると思うし、後は周りのサウンドとの兼ね合いで上げることも下げることもできるくらいの自由度が得られたんじゃないかと思います。

スタンダード回路のノーマルストラトを長く愛用している方ならこれは驚きかも知れないし、同じシチュエーションでこれまでの自分ならTツマミは2つともフル10Vツマミは8.5以上で入っていくと思います。

 

ストラトキャスター[ノーマル/MOD]データ

ノーマル合成抵抗 125 83 125 125 250
ノーマル静電容量 .05 .05 .05 .05 0
SWポジション フロント フロント+センター センター センター+リヤ リヤ 単位
Vポット抵抗 250 250 250 250 250
Tポット抵抗 250 125 250 200 1000
トーン補正抵抗 5 5 5 5 5
MOD合成抵抗 126 86 126 113 200
MOD静電容量 .05 .05 .05 .05 .05

見にくい表になってしまいすみません。

ちなみにMODしたのは新古品で入手のTokai GOLDSTAR AST144Gです。

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電子パーツは全て交換しました。

 

  • PUFender Pure Vintage `65
  • SWCRL 5Way
  • ポット:CTS 250kΩ
  • 配線材:ビンテージスタイルクロスワイヤー
  • トーンCap:ビンテージBumble Bee .039 400V(実測.056㎌)
  • ジャック:Pure Tone

 

Tokaiは、もともと本家Fenderほどドライなサウンドではありませんが、高額レリック系にも時々見られるカラッカラの音ではなく、むしろ本物のビンテージにどことなく似た(同じじゃないけど)弾力のある魅力的なサウンドを備えていると思います。

一連のMODで、長年愛用してきたFender 63年製ストラトとはまた一味違う素晴らしい1本、しかもメイプル指板が手に入ったと思い、最高にうれしいのです。😆👍

 

※間違いが多々あると思うので、絶対に真似しないでください。

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